張力 - 解説
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まえがきとして私はセックスを書くにはセックスの前後のじゃれあいを書かなければならないのではないかと考えており、この漫画はそういう目論見で書いたのですが、なんだか他人に見せるには娯楽作品として不適切というか読みづらいものになってしまったなあという印象です。理想的な制作のスタンスとして他者志向と自己志向を7:3くらいに出来るとよいなあと思っております。他人を楽しませたい気持ちと自己表現をしたい気持ちを7:3くらいの比率で作るということです。これはそうではないという話です。
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スカした表題。余白をたっぷりとってちっちゃいセリフ体を置いているのがいかにもスカしています。ここに登場人物紹介を挟むのは平成初期ウルトラマンシリーズのパロディです。
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なんとなく緊張感のあるサイ。このコマはサイの魅力が表れていて可愛いのではないかと思っております。サイはケイの心情を探るときにこういう態度を取ります。
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安堵。個人的にこのケイの返しは嫌い(普通に「エッチ嫌いじゃないよ」って言えばいいじゃん、と思う)なのですが、ケイはこういう返しをするタイプなのだろうとも思います。サイもこれが当然のものとして気にしていない様子。
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ケイは自分の内面を打ち明ける際に相手の目を見て喋るタイプの人間です。一方サイは目を逸らすタイプ。一般的な感覚としてサイの方が感情移入しやすいのではないかと思います。サイ(もとい一般的な人間)にとってケイの視線と言葉は直接的過ぎるのです。ではケイは無機質な人間なのかと言われるとそうではなく…
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上手く伝わってないと感じてベラベラ喋るケイ。ケイには自分の考えを正確に伝えたいというきらいがあり、これはその表れなのではないかと思います。私は人間の「自分を正確に知ってほしい」という気持ちは「自分はこんなに思いやりのある人なんだ、自分を善人だと思ってほしいんだ」というエゴイスティックな気持ちの表れなのではないかと考えておりまして、ケイはそういう性質を持った人間なのではないかと思います。次のコマのケイのセリフはもともと以下のようなものでした。
自分の気持ちが正確に伝わることなんてないのに
心の内側を正確に知ってほしいというのは単なる傲慢だ
要するに自分はそういうエゴを持った人間であると自省するわけなのですが、ケイが自分の傲慢さに気づいていない方が人間として魅力的なのではないかとも思い、ここは明言させず曖昧にしました(単に作品のテーマがブレるからということもある)。
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ナイーブなケイ。ケイもケイなりにサイの善意を汲み取る感度を持っていたりします。ケイとサイはそれぞれ別を向いた合理主義者っぽいところがあります。サイは許容量を増やして現実に対応していくタイプ、ケイは発生した事象をひとつづつ言葉にして対応していくタイプです。サイは「言葉にしないほうが良いことは言葉にしない」「解決しなくていい問題は解決しない」という考え方を採用しているので、2人の間に緊張感が発生した時はおどけたりして対応します。ケイはサイのそういうところが好きなのです。
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臍の緒の話。サイはケイに対し、どの程度まで自己開示してよいかの距離を探っており、その物差しとして「キモさ」を用いています。「ケイちゃんの前ならこのくらいキモくなれる」ということを尺度として使っているわけです。
余談ですがここの話の切り替わり方が唐突で読みづらいように感じます。これに関しては意図的なものではなく単に私の実力不足です(が、別にいいのです)。
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サイはお互いの間に働く力を張力に喩えています。サイが「くっつきたい力」を否定した理由については後述。
このサイの推察はなんとなく的を射ていて、ケイとサイの関係性には成熟しているという意味でのロバストネスが備わっており、要するに若者特有の痴情のもつれなんかはお互いに興味が無かったりするわけなのです(くだらない喧嘩をしないという意味ではない)。おそらくこのくだりは今後何回も発生するだろうと思います。
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いまいちタイミングが掴みづらいケイ(ちなみに私はこういう人は苦手です)。サイは